労働問題.COM|弁護士による労働問題(労働審判,労働組合)の解説 

解雇,残業代,派遣,非正規社員,労働審判,労働組合,訴訟,仮処分などの労働問題について経験豊富な弁護士が分かりやすい解説をしています。

解雇,残業代,パワハラ・セクハラ,派遣など日常発生する労働問題。
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こんにちは。弁護士の吉村です。

本日も労働問題に関するホットな最新判例について弁護士としてコメントをさせていただきます。
ストーカー
本日の労働問題の判例は,
女性社員が社内で上司に盗撮されたこと関し、会社に対する損害賠償請求が否定された例です。

ある土建会社(千葉支店)の女性社員が,更衣室で着替えている状況を,直属の上司(千葉支店長)にデジタルビデオカメラで盗撮された,という事案です。女性社員は,会社に対して,使用者責任等を追及して慰謝料200万円を請求しました。なお,千葉支店の正規社員はこの女性社員と支店長の男性のみでした。また,女性社員は昭和38年生まれで,盗撮された当時40代後半でした。支店長は昭和24年生まれで,盗撮した当時60代でした。そして,この判決は,キャリア(修習46期)からしておそらく40代半ば~後半の女性裁判官によりなされました。結論としては請求棄却(労働者敗訴)。その理由は?
 

 

ポイント(これだけ読めば十分!)
① たとえ業務時間中であっても,上司が行った盗撮行為は個人的な欲望に基づく行為であり,会社の業務と関係ない以上,会社は使用者責任を負わない
② 
上司が犯罪行為を行ったとしても,会社にはそれを予測できない以上,防止する義務はない
③ 
会社が当該男性社員をすぐに懲戒解雇せず,また,懲戒解雇後に女性社員の要望に応じて公表しなかったとしても,誠実さを欠いていたとは言えない。


 判 例 情 報 

Ⅹ社事件

東京地裁(平成25925日)判決

労働経済判例速報 2195-3

 

 事 案 の 概 要 

【当事者】

X(原告):女性従業員(昭和38年生)。H8 正社員採用

Y(被告):土木建築の請負等を業務とする株式会社であり、東京都に本店がある。

B:千葉支店長(昭和24年生)

【事案の概要】

H23.6.29 Bは、午前836分ころから46分ころまでの間、Y千葉支店のロッカーにおいて、Xの着替えをのぞき見る目的で同室内の紙袋にデジタルビデオカメラを入れ、Xの姿を撮影して録音し、盗撮及び盗聴をした。それに気付いたXはビデオカメラを持って警察署へ行った。Bは任意で捜査される。

H23.7.1 BYへ退職届を出すが,Yは懲戒解雇をするかもしれないので受領せず。

H23.7.7 YはBを懲戒解雇

 

 結   論 

請求棄却(労働者敗訴)

 

 判   旨 

「原告は、被告千葉支店のロッカー室において、直接の上司であった千葉支店長のBから、私服から事務服に着替える様子をビデオカメラで撮影される被害を受けたことが認められるが、Bの本件盗撮行為は、原告が着替えをする姿を見たいというBの欲望を満たす行為であって、事業上の必要性に基づくものではなく、その態様も、被告の業務用のビデオカメラを使用しているものの、原告に気づかれないよう隠匿したビデオカメラで隠し撮りをするというものであって、Bの職務上の権限や上司としての地位を利用したものともいえないから、土木建築業者である被告の事業の範囲ではなく、被用者であるBの職務の範囲内に属する行為でもなく、その外形を備える行為でもない。したがって、本件盗撮行為は「事業の執行につき」行われたと認めることはできない。」

「本件盗撮行為は、原告の出勤後、Bがロッカー室に入って紙袋に隠匿したビデオカメラを作動させ、原告に知られぬまま、原告がロッカー室で着替える姿を撮影するというものであり、軽犯罪法に違反する犯罪行為であって(書証略)、Bにおいて原告はもちろん他の被告社員にも知られぬよう行うものであり、被告においてかかる本件盗撮行為を予測し、防止することはできなかったと認められる。そうすると、被告が本件盗撮行為を予測して、その防止のため女子更衣室を設けたり、ビデオカメラの保管を厳重に行ったりする義務があるとはいえず、本件盗撮行為が発生したことについて被告に防止義務違反があるとは認められない。」

 感 想 

事案に対する結論としては妥当なものかと思います。
ただ,ロジックとして,この裁判例のように
盗撮は業務と関係ない,秘密裏に行われるので会社は知り得ない,ということを理由に使用者責任や安全配慮義務違反を否定していますが,そうなると会社内で秘密裏に行われる変態的行為について,会社は守ってくれないのか?とも思えますね。
あくまでもこのケースについての判断ということなのだと思います。


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こんにちは。弁護士の吉村です。

本日も労働問題に関する実務について弁護士としてコメントをさせていただきます。

本日の労働問題の実務トピックは,新垣隆さんは桐朋学園に提出した辞表を撤回できるか?です。またまた時事ネタです。


 前回の記事
桐朋学園は新垣隆氏をクビにできるか?】では,桐朋学園は新垣隆さんを解雇できないと説明しました。
 

 にもかかわらず,昨日の一部報道では,新垣隆さんは桐朋学園へ辞表を提出したというものがありました。世間を騒がせた道義的責任をとったのか,はたまたここまで報道されてしまい勤務を継続することに作曲家としての繊細な感性か耐えられなかったのか,はたまた桐朋学園側から解雇をちらつかせて退職を強要されたのか,真実は分かりません。
 他方で,これまでの新垣隆さんの熱心な教育活動,作曲などの音楽家としての活動を指示する方々(教え子の学生を中心)の多数が慰留を望んでいるとの報道もなされています。
 そこで,今回は新垣隆さんが一旦提出した辞表を撤回する余地はあるのか,という労働問題について弁護士として解説致します。

ポイント(これだけ読めば十分!)
① 退職届(辞表)を提出しても,正式に受理される前であれば撤回は可能
② 解雇することを示唆しながら退職届(辞表)の提出を迫ったような場合も,錯誤又は脅迫を理由に,退職の意思表示の無効又は取り消しが主張可能。

③ 上記①,②の場合以外でも,桐朋学園が撤回を承認するのであれば,撤回し勤務継続可能
 


 

 解   説 

1 退職届を撤回できるか?

退職届が提出された場合は,一般的には,労働者が使用者の同意を得なくても辞めるとの強い意思をもっていることが明らかな場合を除き,合意解約の申込みがあったと解されています。従って,会社が承諾する前であれば(承諾は,承諾の権限を有する者によってなされることが必要です),申込みの意思表示を撤回することは可能です。

 

2 退職の意思表示の無効・取り消しはできるか?

仮に退職届が貴社に正式に受理され承諾された場合でも,解雇理由がないにもかわらずその旨ほのめかして退職願を出すように迫った場合、労働者が恐怖感から本意ではないにもかかわらず退職願いを出すことも考えられます。このような場合は,錯誤又は脅迫を理由に,退職願いを出したことについて,無効又は取り消しを主張できる可能性があります

 

3 いずれにしても会社がOKなら辞表の撤回,勤務継続は可能

さらに,いずれにしても会社が辞表の撤回について同意するのであれば,撤回し勤務を継続することは可能です。

今回,学生を中心に新垣隆さんの勤務継続を望む声は大きい。この点は桐朋学園も無視しえないくらい大きな意義があると思います。また,桐朋学園としても新垣隆さんのこれまでの業績を再評価し,勤務継続をしてもらうメリットはあると思われます。桐朋学園による了承も不可能は話ではないと言えます。
ただ,最終的には,新垣隆さんの意思が第一です。
教育者として,音楽家として,今後も勤務を継続することを望む学生達の気持をどこまで受け入れるのか。新垣さんの動向が気になります。

 

【詳細な解説は公式サイト】

退職届の撤回をする方法

退職届の無効・取り消しができる?


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新垣 解雇
こんにちは。弁護士の吉村です。

本日も労働問題に関する実務について弁護士としてコメントをさせていただきます。

本日の労働問題の実務トピックは,桐朋学園は新垣隆さんをクビに(解雇)できるか?です。時事ネタです。

既にマスコミを賑わしていることですが,全聾(ろう)の作曲家・佐村河内守(さむらごうち・まもる)氏が代表作を桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏に作曲してもらっていた,いわゆるゴーストライター問題がありました。新垣さんは2月6日都内で記者会見を開き,全容について告白しました。

このゴーストライター問題に関連し,新垣氏の勤務先である桐朋学園を「当然クビでしょ!」という意見もあれば,それに反対する声も多いようで,学生を中心に反対署名運動が展開されるなど,議論を呼んでいるようです。

では,実際のところ,桐朋学園は新垣氏を解雇できるのでしょうか?

※以下事実関係を仮定的に設定(新垣氏の記者会見を中心に報道機関の公表をソースにしていますが,正確性は保証の限りではありません。)

  • 新垣氏は桐朋学園大非常勤講師。「非常勤」であるので,桐朋学園との間で有期雇用契約を締結していると推測される。 
  • 新垣氏は,佐村河内氏の曲を担当した。報酬も約700万円ほど受け取っている。
  • 佐村河内氏は図表や言葉で曲のイメージを伝えてきたが,プロデューサーのような立場だった。佐村河内のアイディアを新垣が曲にして、佐村河内は自分のキャラクターを作って世に出した。

ポイント(これだけ読めば十分!)
① 有期雇用契約の期間途中であっても解雇を行うことはできるが、期間の定めのない労働契約(正社員)の解雇以上にハードルが高い。

② 
業務時間外の私生活上の問題行為については,雇用契約外の出来事なので,業務に影響を及ぼしたり、学校の信用を棄損するなど、職場秩序を撹乱する場合に限り,解雇などの不利益処分が可能となる。

③ 
新垣氏については,ゴーストライターとして楽曲を有償で佐村河内氏に提供しているが,それ自体は特に違法性はない。また,「全聾の作曲家・佐村河内守」をプロデュースしたのは佐村河内氏自身であり,そのような世間への売り込みに新垣氏は直接加担していない。また,自主的に公の場で真実を告白し,反省の弁を述べたこと,今後二度と同じ過ちを犯すとは考えられないこと,学生への音楽指導は非常に熱心に行っており,多くの学生が署名により寛大な処分を求めていること,等を総合的に考慮すれば,解雇は認められない。
 


 

 解   説 

1 有期雇用契約の期間中に解雇できるか?

契約期間途中で,労働契約を解約する使用者の意思表示は解雇であり,解雇権濫用法理等の解雇制限法理がストレートに適用されます。そして,その場合,期間の定めのない労働契約の解雇の場合に比べてより厳しく判断されるとされています。期間途中に解消する理由については民法628条の適用を受け,「やむを得ない理由」が必要とされます(労働契約法17条でも使用者の側からこの点を定め確認しています。)そして,この「やむを得ない理由」は,解雇権濫用法理における解雇の合理的理由の程度より厳しく判断されると解されます。つまり,正社員より解雇のハードルは高くなります。

 

2 私生活上の行為を理由に解雇できるか?

多くの会社の就業規則には,「会社の名誉・信用を毀損したとき」,「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」などといった懲戒解雇事由が定められています。但し,労働者が私生活上の非行を行ったからといって,一概に懲戒解雇ができるとは限りません。会社との雇用契約は就業時間中に限っての指揮命令関係が成立するにすぎず,就業時間外の労働者のプライベートな行動については原則と問題とすることができないのです。ただ,労働者は,雇用契約上に付随した義務として,使用者の名誉・信用を毀損しない義務が認められると考えられています。従って,労働者の私生活上の行為であっても,それが企業秩序に影響を及ぼすものである場合は,例外的に解雇の対象となるのです。

 

3 今回の新垣氏のゴーストライター問題

(1) ゴーストライターとしての問題点

まず,ゴーストライターとして楽曲を有償で佐村河内氏に提供しているが,それ自体は著作権法に抵触する訳ではなく,特に違法性はありません。実際にも,作曲家として活躍している人の中にも,第三者より楽曲を購入する人もいるでしょう。

 

(2) 「全聾の作曲家・佐村河内守」として世を欺いた点

「全聾の作曲家・佐村河内守」は,報道を見る限り,完全に佐村河内氏の自作自演です。私もNHKの番組は見ましたが,あたかも自ら作曲をしているかのような迫真に迫る演技でしたね。このようなプロデュースに,新垣氏は関与していなかったと考えられます。また「全聾の作曲家・佐村河内守」で売り抜いた利益は,佐村河内氏が基本的には手にしており,新垣氏に対しては微々たる対価しか支払われていなかったようです。このように利益の享有という意味でも,新垣氏は佐村河内氏のビジネスに直接的には関与していなかったと思われます。

 

(3) 桐朋学園の秩序を乱したか?

確かに,報道では桐朋学園非常勤講師としての肩書きが出ており,お騒がせはしたのは事実だと思います。しかし,上記のとおり新垣氏のゴーストライターとしての活動は法的には問題はありません。世の中の論調も,新垣氏を非難するものばかりではありませんし,桐朋学園の責任を問うという声も私が知る限り上がっていないようです。

自主的に公の場で真実を告白し,反省の弁を述べたこと,今後二度と同じ過ちを犯すとは考えられないこと,学生への音楽指導は非常に熱心に行っており,多くの学生が署名により寛大な処分を求めていること,など酌むべき事情も多くあります。

 

(4)結論

このような事情を総合的に考慮すれば,解雇は認められないと考えられます。
桐朋学園もHPで,「
今後、経緯や事実関係などを詳しく調査したうえで、厳正に対処いたします」 と明確に「解雇」と告げず慎重な態度をとっています。
こういう場合,実務的には,解雇はせずに,自主退職を促すのが一般的ですね。実際に一部報道では新垣氏が辞表を出したとするものがあります。 

 

【詳細な解説は公式サイト】

契約期間中に解雇できるか?」

逮捕された社員を解雇できる?


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【労働問題の実務-弁護士の解説】(メモはタイムカードの代わりになるか?)

 

こんにちは。弁護士の吉村です。

本日も労働問題に関する実務について弁護士としてコメントをさせていただきます。

本日の労働問題の実務トピックは,労働者がつけていた出退勤のメモはタイムカードの代わりになるか?です。

労働者が残業代請求を行う場合,残業をした事実については労働者に立証責任があります。会社でタイムカードによる労働時間管理を行っていた場合は,タイムカードが残業時間の有力な証拠となります。しかし,タイムカードで管理をしていない会社の場合,労働時間を証明する客観的証拠がないこともよくあります。

 

写真

そこで,残業代を請求したい労働者は上記のような労働時間のメモしたものを証拠として残業時間を証明しようとするケースがよくあります。このような証拠が出された場合,会社は残業代を支払わなければならないのでしょうか?

 

ポイント

●時間外労働をしたことの客観的立証責任は,労働者の側にある

●タイムカードなどの客観的証拠がない場合は,労働者側が,業務日誌や業務週報の写しや,個人的な日記のような資料によって証明することがある。

●但し,単に時刻を記録したメモなどは証拠とはならないことが多い

 

 解   説 

労働基準法は,賃金全額払の原則(労基241項)を定め,しかも時間外労働や休日労働について厳格な規制を行っていることからすれば,使用者に,労働者の労働時間を適正に把握する義務を課していると解釈されています(但し,条文上明確にはされていません。)。厚生労働省も,「労働時間の適正な把握のために使用者が構ずべき措置に関する基準」(平成1346日基発339号)を定め,使用者が労働時間の適正な把握と適切な労働時間管理を行うべきことを確認しています。
 

もっとも,時間外労働をしたことの客観的立証責任は,労働者の側にあります(労働時間の適正把握義務と労働時間の立証責任のギャップが紛争を生んでいます。)。

タイムカードなどの客観的な記録があれば,職場にいた時間=労働時間との経験則に基づいて,残業時間の立証は割と容易になされます。
 

しかし,タイムカードなどの客観的証拠がない場合,労働者が業務日誌や業務週報の写しや,個人的な日記のような資料によって,職場にいた時刻を一応立証し,使用者側がそれに対して有効適切な反証ができない場合には,その資料によって職場にいた時刻の事実を認定することもありえます。
 

ただし,労働者の上記証明は,あくまでも「証明」つまり裁判官に確証を得させる必要がありますので,そう簡単ではありません。

先ほどの画像にあるような時間メモだけでは証明は困難と言わざるを得ないでしょう。

会社側としては,労働者が適当に持ってきたメモに対し,正々堂々と否定した場合,労働者が証明できない結果となり,残業代請求が認められないことも実務的には多くあります。

私の経験でも,会社側について残業代請求事件を戦ったケースで,労働者が手帳に労働時間を記載したものを残業時間の証拠として提出してきたことがありました。

会社側としては,ありえない残業時間でしたので,労働者が裁判で残業代をせしめんとして適当に書いて出したものであることは明白でした。そこで,労働者の主張及びその手帳の信用性を徹底的に争うとともに,労働者の手帳の記載を潰す証拠も探しました。すると,会社ではセコムのセキュリティーを採用しており,セキュリティー機器の解除・セット時刻が記録されていることが判明しました。つまり,セキュリティーの解除時刻前及びセット時刻以後に従業員が会社内に立ち入ることはありえないという証拠となったのです。それを一覧表にして労働者の手帳の労働時間の記載と照合すると,セキュリティーをセットした時刻以後であるにもかかわらず,労働者の手帳には会社内で働いていたとする時刻が記載されている部分が多数判明しました。つまり,労働者の手帳は,セキュリティーのセット時刻という客観的証拠と矛盾し,その信用性は崩壊し,証拠としての価値は0になったのです。

結果,会社側完全勝訴。労働者側の請求を棄却させました。
 

このように,労働者側が出してきた適当な証拠に惑わされずに,最後まで諦めずに客観的証拠の破片を探し抜くということが非常に重要ですね。

 

なお,詳細な解説は公式サイト「労働時間についての裁判所の認定」 もご参照ください。また,「残業代の計算方法」も併せてご参照ください。

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弁護士の吉村です。

今回は労働問題に関する法律の改正動向について,弁護士としてコメントします。

昨日29日,労働問題である労働者派遣制度の見直し案に関し,労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の専門部会は,労使双方の意見を反映した最終報告が出しました。この報告を受け,厚労省は今国会に関連法案を提出し、成立を目指すことになりますので,この最終報告は事実上の改正案といえます。

これまで労働問題である派遣社員関係では,派遣契約解除・終了に伴う派遣元との有期契約解消などについて,弁護士として地位確認の労働審判などの労働問題対応をすることが多くありましたが,今回の改正は実務的にはかなり大きな影響を及ぼすものと思われます。


 ポイント(これだけ読めば十分!)  
① 企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくし,3年ごとに派遣労働者を交代することで同じ業務をずっと派遣社員に任せられるようになる。また,派遣社員が派遣元と無期契約を結んだ場合は,その派遣社員は期限なく派遣先企業で働けるようになる。

② また,現状では通訳や秘書など「専門26業務」の派遣社員は特別に期限なく働くことができるが,それ以外の業務は最長で3年までしか働けないという区分けになっている。しかし,この区分けは分かりにくく,実際には守られていないケースが多発していた。そこで,新制度ではこの専門26業務の区分けを廃止する。
 

③ 今後は派遣期間の上限は「人」で判断する。派遣元と無期の契約を結んだ派遣社員は派遣先で期限なく働けるようになる。派遣元と有期契約を結んだ派遣社員も,派遣先で最長3年働ける。他方で,3年ごとの切り替え時に正社員の職をおびやかさないかなどを労使でチェックする仕組みを取り入れる。
 

  派遣元の人材派遣会社の責任を重くした。派遣元に労働者の教育訓練を義務付けるほかに,3年の期間が終わった労働者に対し、(1)派遣先企業に直接雇用を申し入れる(2)新たな派遣先を提供する(3)最終的な受け皿として自社で無期雇用する等の措置を求める。

 また,現状では届け出制と許可制の2種類がある事業者について,今後は基準が厳しい許可制に一本化する。


 

発想の変換

 これまでは,労働者派遣=非正規労働者が拡大する制度なので,なるべく規制を強化して使いづらくして,正規雇用への転換を狙う,という方針でした。

 しかし,実際には,厳しい規制の抜け道が多く(例えば,いわゆる専門26業務に該当しないにもかかわらず,該当すると勝手に解釈して派遣を行うなど)かえって,規制の外で労働者が保護されていない状況を生んでいました。また,規制が厳しく,多様な働き方を選択したいという労働者の要望が叶えられないという実情もありました。

 そこで,今回の改正にあたっては「労働者派遣事業が労働力の需給調整において重要な役割を果たしていることを評価」し,労働者派遣事業の規制を緩やかにしつつ,「派遣労働者のキャリアアップや直接雇用の推進を図り、雇用の安定と処遇の改善を進めていく」という方向へ変更されました。

 厳しく規制しても守られずに労働問題の無法地帯(ブラック企業)を生むくらいならば,規制を緩くした上で遵守を徹底させる方がよいということでしょう。

 今後の実際の改正動向にも注目したいと思います。

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